Arisaema penicillatum
Hong Kong
Arisaema penicillatum N.E.Br.
J. Linn. Soc., Bot. 18: 248 (1880)
-Synonym-
・Arisaema laminatum Benth. in Fl. Hongk.: 342 (1861), nom. illeg.
・Arisaema matsudae Hayata in Icon. Pl. Formosan. 9: 149 (1920)
分布はGuangdong, Guangxi, Hong Kong, Hainan, Taiwan。
TaiwanのものはA. matsudaeとされていたが、現在は本種のシノニムとされている。
Arisaema matsudae Taiwan
photo by Ryo
上記画像は台湾産の個体。
また、Malay-Borneoに分布するA. laminatumにもよく似るが、中国にて記録のあるA. laminatumは 本種のシノニムとされている。前述の分布を示すA. laminatumに関しては、筆者は観察していないためなんとも言えないものの、シノニム関係となっている。
A. matsudae、A. laminatumはやや雰囲気が異なるようにも感じているが、現在は上記通り一種にまとめる見解が主流である。
根茎はやや歪な球形で、直径は1-3cmほどとかなり小さい。葉は1〜2枚で、栄養状態により変化する。小葉は安定して3枚、中央の小葉は葉柄がわずかにあるが、左右のものには見られない。
仏炎苞は緑色で安定するが、黒い線状の模様が入るものや、まったく緑色のもの、また白く窓状に透けるものなど変異に富む。
付属体には少々の分岐が見られるものの、こちらも変異に富む。全体としては線形と言えよう。
さて、画像1、2枚ともに非常にA. guangxienseとされている一群に似ていることに気づく方も多いだろう。事実、Guangxiを中心に分布するこのグループは未だ未整理であり、今後細分化されてゆくかもしれない。
Arisaema guangxiense
Chongzuo, Guangxi
またJ. Murata & Su-Gong Wu (2003)にてA. lihengianumと同時に記載されたA. lidaenseは本種のシノニムであるA. laminatumに近縁と予想されていることから、こちらも関係が深いものと思われる。
今後の展開が楽しみなグループである。
なお、A. guangxienseは独立種であるが、本種に比較し派生的形質を欠くため本項にまとめておく。